番町教会
『いのちの光』に導かれて

新会堂にステンドグラスの光を入れることができる
という願いが叶った時にどれだけ嬉しかったことでしょう。

初めてステンドグラス制作と出会って40年あまり。
自然光とガラスから創りだされる光の何ともいえない魅力―光に包み込まれる安らぎを感じて、私自身、気がつけばこんなにも長く制作に携わってきました。

 建築図面と階段室模型を手に取り、更地になった建設現場に初めて立った時、そこにはないはずの大きな木を感じました。どっしりと揺れ動かない大地、燦燦と降りそそぐ天、それぞれのエネルギーを浴びながら生きる大きな木。根っこ、幹、葉っぱ、花、実も自らエネルギーを発し、大きな自然の力に温かく優しく包み込まれたように感じました。そのイメージをステンドグラスにしたい、ここから大きな課題と向き合うことになりました。

 まずは、教会の皆さんのイメージをお聞きしながらイメージ絵画を描くところから始まりました。実際の寸法図面枠を何十枚も描きました。イメージができあがったらデザイン画の図面制作に移ります。

 手塚先生のデザインとイメージへの思いは深く熱く、しかし私のステンドグラスへの思いも負けずに熱かったので、建築デザインとマッチングしてより良いものにするために、どんな作品を目指すかを熱く、熱く、熱く、何回も語り合いながら打ち合わせを繰り返していきました。やっとデザインが完成した時は、心底安堵したのを覚えています。私にとって熱い語らいは、本当に新鮮な刺激で大きな学びになりました。

 自然をじっくり観察し自問自答しながらやっと描けたデザイン図面でしたが、そこからがまた大変でした。

 ガラスの色決めだけに2ヵ月もかかってしまいました。温かく優しく力強く包み込んでくれる色合いのガラスを探し組み合わせていく。足場のないくらいいっぱいに図面を広げ、ガラスを太陽にかざし、色の出方や天井、壁、床への映り込みを眺め、雨の時はどのように映るのだろうかと考えました。今日決めたガラスが翌日には何となくイメージと違うということもあり、納得いくまで時間がたっぷりかかりました。

 決まったら一気に作業に入りました。ガラスを切って組み合わせながら全体のイメージに合っているか、毎日毎日陽射しの変化を追って眺め、建物が形になってきたら、実際に取り付けする場所の光の入り方、建物の周りの景色との関係を見ながら制作しました。

 制作に関わって四季が2回移り変わりました。
思いを形にすることの難しさと感動をたっぷりと味わい、学ぶことが多くありました。
一つのことに向かって夢中になれるって本当に素敵なことですね。
番町教会新会堂の建築に関わってこられた皆さんの本物を造ろうとする意気込みに圧倒されながら、そのことを語る姿や笑顔が素敵で、その中の一人として時間を共にできたことは本当に幸せでした。

何度もガラスをカットしては並べ別の色ガラスをカットし並べ…
試行錯誤しながらより良いものを追求しました。
天井もデザインの連続性をもたせていたます

十字架の上部から神々しい天使の梯子が降りるのを見て、天井には三位一体を表す3色の色ガラスを配置しました。

この場所に来られた全ての皆様にやすらぎの光が届くことを願います。

今回の作品は聖書のストーリーに特化せず、私の感じた感覚をデザインし、パネルごとに根、幹、花、実、葉、そして光と意味をもたせて大きな一つの絵画となるように制作しました。
その場に立った時々に、自由に何かを感じていただけましたら幸いです。

☕️ 「いのちの光」ネーミングの由来

イエスは再び言われた
「わたしは世の光である。わたしに従う者は暗闇の中を歩かず、命の光を持つ」 ヨハネによる福音書8章12節

「建築中の現場に行ったとき、新しい建物に組み込まれたステンドグラスを見せていただきました。

工事用の明かりが消され、ガラスの光が壁に映るのを見たとき、
ふと聖書に書かれている『いのちの光』という言葉が思い浮かびました」

という言葉を横野牧師様が言ってくださいました。

自然の煌めく力を表現したいという制作イメージと重なったのでステンドグラスのタイトルを『いのちの光』と決めました。

この新会堂建築に関わられた皆様、私の制作に力を貸してくださった皆様、そして陰で支えてくれた家族に感謝し、ご挨拶の言葉とさせていただきます。

感謝

番町教会の設計建築をされた手塚建築研究所のサイトに番町教会のご紹介がありますのでそちらもご覧ください。こちらから

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